ゲットアウトとシティベーカリーのチーズケーキ

私はいま修士課程の学生で修論を書いている真っ最中、締め切りまであと一か月ということになったのでずーっと頭は修論のことを考えっぱなし(マジで)。でも頭はいつまで経ってもクリアにならず、クリアじゃない頭で物事を考えることは本当によくないので、いろいろ試しはしたんだけどやっぱり物語と音楽に身を沈めることができる映画というものがいいんだろうなと思ってツイッターで評判の良かったゲットアウト(ジョーダンピールJordan Peele監督、カナダ、2017)を観に行った。場所は日比谷シャンテ。

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丸の内線銀座から日比谷へと向かう。丸の内銀座エリアといえば東急、またカカオマーケットのドライフルーツがいいかなと思ったけど100gからしか買えないのが億劫で(100gだと1600円するし)、そういえば前回諦めたマネケンのワッフル!とも思ったんだけどまたもや遅刻気味に銀座に着いてしまったのでお世話になります東急プラザ!そういえば東急プラザの地下二階にはシティーベーカリーが入っていて、私はシティベーカリーのピーナツバタークッキーが大好きだった~!と思って立ち寄ることに。

THE CITY BAKERY | 東急プラザ銀座 | 東急プラザ

夜八時近くの上映だったので店内の品物は少な目。三連休初日だったし買い物に来る人が多いんかも。クッキー等の焼き菓子コーナーはまだちらほら残っていてピーナツバタークッキーも発見。ピーナツバターをそのままかじっているような濃厚な味がやみつきなんですなあ。と思ったら隣にあったチーズケーキ(名前忘れた)に目を奪われてしょうがねえ。チーズとチョコレートの組み合わせとな。悩んだ末チーズケーキを購入。紅茶はあらかじめ作って水筒に入れておいたトワイニングのレディ・グレイ。

ほんで映画、ゲットアウト。最初の音楽がめちゃくちゃ不穏で、「人種差別ホラー」とは聞いていたけど「一番怖いのは人間でした!」のパターンではなくマジでマジモンのホラーなんか?!と思わされるほどでケーキを食べるのを忘れる。映画の構成はめちゃくちゃよく出来ていてドキドキしたりゲラゲラしながら映画は進むんだけど、「人種差別」の部分でやはりどうもムカムカしてしまって、そうそう、リベラルと呼ばれる人たちのこういう振る舞いが私も苦手なんだと思いながら(映画中のエピソードは黒人である監督の実体験に基づくものらしい)、話が落ち着いてきたのでチーズケーキをかじる。チーズの酸味がかなりしっかり出ていて、それがチョコレート部と混ざっていい感じ。と思ってたら映画はガンガン進むので次第にチーズケーキのことを忘れていく。キンキンにテンションを張った状態で映画はエンディングへ。監督がコメディアンらしく、こういう不快とも言える映画をコメディアンらしく笑いで中和させようとするんだけど主役のダニエル・カルーヤDaniel Kaluuyaの表情に圧倒されて笑えねえ。なんというか本当に映画の構成、ありがちだけどしっかりした映画音楽、色遣い、演技等、映画・ホラー映画としてはとっても良かったんだけど、なんかやっぱり「黒人」と呼ばれる人たちがとことん救われなくてゲッソリしてしまった。娯楽としてのホラーの恐怖心と、生きることにまつわる本当の恐怖心がないまぜになってとても厭な気持ちになったんだけどこれは私がポリコレ警察になっちゃってるだけかなあ。

私小説『ブラック・ボーイ』を読んだときにも思ったけど、黒人による作品って最後まで、自身を冷徹に見すぎるところがあって、自分たちを、なんというか、「落とす」んだよね。謙遜とかではなく、強烈な差別体験があったからこそ、その描写に手を抜かず、時に自分たち自身に原因を求めていく。

もちろんこの映画では、『ブラック・ボーイ』のときのような問いかけはないんだけど、けっきょく、黒人であることが、この事態を招いてしまったという救われなさの圧倒的な描写に、私はマジで凹んでしまった。

結局チーズケーキは半分残して翌日に持ち越し、ちなみに紅茶は熱すぎて飲めなかった。