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映画『キャロル』

“How many times have you been in love?”

いい加減、芸術作品に都合のいい自己投影をするのをやめたい。

愛とは何か?私は、というより誰でも、各個人の愛の理想というものを作り上げている。出会い方、恋し方、過程に何がなければいけないか、何を共有しなければならないか。そういった、愛の製造方法。そうして自分のなかで形成したその理想のステップを着実に踏んでいなければ愛ではないような気さえする。この二人にとって愛とは何か?交わされるのは言葉ではなく視線であり、あるのは理屈ではなく事実である。これは私にとって愛ではないし愛の説明になってくれない。それでも二人の間に確実に芽生えていくものに心の奥底で震えた。私もこれがいい。天から落ちてきたようなその人を捉え離さずにいたこと。肌を重ね合わせることの必然。混濁する嫉妬。愛は生き物。醜い生き物ではないはずの私たち。”I love you”の力強さ。刹那など意味をなさずそれは孤独を感じさせるものでしかないこと。キャロル。


私もこれがいい

来ない連絡にいつまで縛られているつもりだろう。なぜ来ないのだろうと悔しく、正直に言えば悲しく、思うことはあれど。感情は時間の中に生起する。時間を共有する相手を厳密に選択するのがよい。この映画のどの部分に自分が憧れたのかわからないが、それは愛自体というよりも気高く生き正しい道を選ぶことにであるように思う。広げた鎖骨の、堂々とした尊さ。それをしってから、肌にふれて。